謹賀新年
2011年がスタートしました.
なんだか更新の頻度がどんどん落ちている気がしますが,それはきっと気のせいです.軽い話題はTwitterでつぶやいて満足してしまうので,ブログはもっと濃い話題をと思っていますが,自分の話題作りの下手さを再確認している次第です.ネタ切れ感もあります.
その時々で新しい事はやっているつもりなのですが,あまりおおっぴらに書く事ができないのが歯痒い.まあその中からエッセンスを拾って書いていこう思っています.
本年もどうぞ宜しくお願い申し上げます.
最近読んだ記事です.とても興味深い.
Business Media 誠:鈴木敏夫プロデューサーが語る、スタジオジブリ作品の創り方
後編もあるのでお見逃しなく.
鈴木敏夫プロデューサーは,ビジネスマンというよりもかなりクリエイティブなモチベーションの高い人だと,自分は思っていますが,それでも彼の言葉は分かりやすいというか,割と具体的であると思います.だから「プロデューサー」なのかも知れません.宮崎監督の,時として直感的過ぎる話の仕方とはずいぶん違う印象を受けます.こちらの監督による講演などを読むと違いが良く分かると思います.
Business Media 誠:“ポニョ”を作りながら考えていたこと:悪人を倒せば世界が平和になるという映画は作らない——宮崎駿監督、映画哲学を語る
これも後編があります.
宮崎監督を含んだスタジオジブリという会社は,監督の神格化とその制作する作品の質の高さで,一種の有名税とも呼べるような,第三者による勝手な解釈や定義付けがなされる事が多いスタジオだと思いますが,実際の彼らは至極真っ当というか,普通にビジネスの事も考えつつ,良い物を目指して切磋琢磨している事が分かる記事でした(それでもジブリはかなり恵まれた立ち位置にいるとは思いますが).
自分が関わる事の多い,いわゆる「ハリウッド映画」は,浅い・薄い・内容がない・全部同じ,などと揶揄される事も多いのですが,恐らく出発点というか,作り手がその作品の芯に据えたいと思っているメッセージやテーマと言った部分はきっと同じようにあるのだと思います.ただ,対象とする観客の層や種類がとても広いため,広く共通項が取れて,普遍性のある分かりやすい表現を選んだ結果なのだと思います.
個人の趣味で制作する物と違って,商業作品である以上,「分かる人にだけ伝われば良い」は間違いだと,自分は思います.やはりビジネスとして成り立たなければならないし,そのためには伝えなければならない.分かりやすい表現に変える事で伝えられる人の数が増えるのなら,それは決して迎合ではないと思います.いや,迎合なのでしょうけれど,悪い迎合ではない,とでも言いましょうか.
鈴木プロデューサーの,日本は特殊過ぎるという話,日本のアニメは実はそれほど世界で理解されているわけではない,という話は身をもって感じる事もあるので,このまま縮退してしまわないで欲しいという願いもあり,一方では伝統を守って欲しいと思う気持ちもあります.
大それた事を成せる器でもなく,日本を離れてしまっているくせにこんな事を言うのもなんですが,なんとなく,これから先の舵は自分と同じくらいの年代の人達に託されているのだろうな,と感じます.
次のスーパースターが出て来てくれるのを待ちましょうか.
思いついたので集めてみました.
オープンソースと言うと幅が広いですが,自分が今まで見た事のあるVFX/CG系の会社やツールなどで実際に使用実績があり,プロジェクトの種類が(広い意味で)CG関係の物です.boostやQtなどのように一般に広く使われている物,CgやCUDA,FBXのようなフリーでもオープンソースではない物は除いてあります.
* 画像・テクスチャ関係
OpenEXR
OpenImageIO
Ptex
OpenFX
OpenCV
* シーングラフ
OpenSceneGraph
COLLADA
* ジオメトリフォーマット
Houdini GPD library
GTO
HDF5
Alembic
* シミュレーションエンジン
Bullet Physics Library
ODE
SOFA
* 幾何学関係
Sony Vector Math Library
Sony SIMD Math Library
CGAL
ANN
こんなもんでしょうか.結構ありますね.最近は各スタジオが色々公開してますから,普及したらもっと増えるかな.あとはオーディオ関係もいくつかありましたが,良く知らないので除外しました.
あ,「どれがどこ(なに)で使われているの?」系の質問は無しの方向でお願いします(笑).
「メイキング・オブ・ピクサー —創造力をつくった人々」を読みました.
これはPixarの沿革について書かれた本で,洋書では”The Pixar Touch: The Making of a Company”というタイトルで発売されている物の翻訳本です.
The Pixar Touch – history of Pixar – Home
いやー,期待はしてましたけど,メチャ面白かったです.業界の人やCG好きならもちろん,そうでなくても一気に読んでしまうと思います.
時代だったのかも知れませんが,Pixarの創設者たちがGeorge Lucas,Jeffrey Katzenberg,Steve Jobs,そして当時彼らと縁の深かったLucas Film(ILM),Disney,Apple,NeXTSTEP,及びハリウッド映画産業と複雑に絡まり,時には融合して今の地位まで登り詰めた過程は本当にドラマチックです.
「ローマは一日にして成らず」とは言いますが,彼らのあの地位は降って湧いた物ではなく,運やタイミングに助けられた事もあったにせよ,遠回りしながらも自分たちで切り開いて掴んだ地位なのだ,という事が良く分かりました.情報や知識をいくら収集して,以前誰かが解いた正解付きの問題集をやっていても,誰も解いた事のない問題に取り組まない限りそれを解く事はできない,という事ですね.
とはいえ,もしDisneyが存在しなかったらPixarもまた存在しなかったでしょう.PixarとDisneyの関係はよく取り沙汰にされますが,自分はやはりPixarはDisneyに育ててもらったのだろうと思います.物語にはDisneyによるPixar買収の話も含まれていますが,その舞台裏についても色々と書かれていて非常に興味深い.
映画産業の話だけに,結局カネなの?と思うようなエピソードも多々ありますが,もしカネがあったにせよ,これが日本で起こり得た物語か?と聞かれたら,まあないだろうな,と思ってしまいます.
百年間,映画を商品として創り続けて来た経験は伊達ではないです.