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from los angeles, california

Category: Computer Graphics

sRGBとAdobe RGB – 2

Adobe RGBはどんな時に効果があるか. それは,sRGB以上の色を表現できるデバイスで表示する時であり,一番多いのはプリンタで出力する時でしょう.最近のインクジェットプリンタは高性能で,Adobe RGBの範囲を表現できる物も少なくありません.画像データがAdobe RGB空間の色を保持していれば,より豊かな色を再現できます. しかし,一般的なモニタはsRGBまでしか再現できない事を昨日述べました.つまり,Adobe RGBが正しく表示できるかどうかは,画像表示アプリケーションに依存する事になります.理想的には,モニタで画像を表示する全てのプログラムがきちんとプロファイルを認識し,最も近しいと思われる色で表示してくれれば問題無いのですが,まだまだそういう状態には程遠いようです. よって,Adobe RGBによる恩恵は確かにありますが,最終的に出力するデバイスに依存する事になります.むしろ,プリントはしない,見るのはモニタ上だけというような場合には,sRGBで保存する方がトラブルが少ないと思います. ここで一つ考えられる事があります.Adobe RGBの方が沢山の色を表現できるんだから,Adobe RGBで保存しておいて,必要があればsRGBに変換すればいいんじゃない?確かにそうかも知れません.しかしながら,Adobe RGBからsRGBに完全に変換できる式が存在しない限り,8bit/channel同士のテーブル変換ではあまり正確には変換できないと思います. そもそも違う色空間による結果の違いは,大元のデータが8bit/channelよりも広いレンジを持っている場合においてのみ意味のある話です.例えばデジカメのCDDからの出力,physically basedなレンダラから出力された輝度の値などです.モニタ上で一から描かれた絵にはあまり意味がありません. ですから,デジカメであればRAWフォーマットのファイル,レンダラならHDRなファイル(.exrとか)で保存をしておけば,必要な場合にどちらにも変換,tone mappingが可能になりますから,出来る限りそうする事が好ましいでしょう.ディスクスペース的には厳しいかも知れませんが,仕事で高品質な画像を扱い,環境の許す場合は是非そうすべきだと思います. そろそろ,画像なら8bit/channelという常識を見直す時期なのかも知れませんね.

sRGBとAdobe RGB – 1

勉強したので防備録代りに. あるサイトで,「Adobe RGBで保存するとsRGBよりも広い範囲の色を使う事が出来る」と書かれていました.え?ファイルは同じ8bit/channelなのに? 疑問が湧いたら調べましょう.以下は自分の理解をまとめた物です. sRGBとAdobe RGBと言うのは色空間の名前です.以前書いた色空間の話とは少し違って,今回の色空間は「現実に存在する無限の色をどのように表現するか」を決めるための座標系です.この図を使って説明します. 上の図の色の付いた領域は,可視光,つまり人間が目で見ることの出来る色の範囲をCIE表色系で表した物です.この範囲の色がそのまま色んなデバイスで再生できれば良いのですが,さすがにそれは無理なので,もう少し範囲を狭めてやる必要があります. sRGBとAdobe RGBはその狭めた範囲の代表的な二つで,それぞれの色空間が扱える範囲は上の図の三角形の範囲に相当します.ふむ,確かにAdobe RGBの方が少し広いですね. しかし,色空間でいくら広い範囲を定義可能でも,ファイルは同じ8bit/channelです.Adobe RGBの方が沢山の色を表現できる訳はありません.では,なぜ「広い範囲の色を使う事が出来る」のか. sRGBやAdobe RGBというのは,結局の所数字の変換テーブルです.例えば,ファイルに(r, g, b) = (10, 20, 30)という値が入っていたとすると,それをCIEの表色系に変換する時どのような値に変換するかはsRGBとAdobe RGBで結果が違う,という事になります. つまり,Adobe RGBはファイルに保存されているRGBの値をsRGBよりも広い範囲にマップする訳で,この意味で広い範囲の色を扱えるという事ですね. しかしながら,一般的なモニタで表現できる色はせいぜいsRGBの範囲なので,Adobe RGBで保存された画像はそのままでは期待した通りに表示できません.ファイルにプロファイルとしてAdobe RGBである事が書かれていれば,表示アプリケーション側でそれを指標に色をエミュレーション表示する事が可能ですが,そうでない場合はAdobe RGBで保存された画像を正しい色で表示させる事は出来なくなります. では,Adobe RGBはどんな時に嬉しいのでしょうか. 3/30/06 追記: otsuneさんより,以前の書き方では業務用や高価なAdobe RGBが表示できるモニタも含まれるように読めるとの御指摘を頂いたので,該当個所を「一般的なモニタ」としました.

AL

先日CGKitを紹介しました. そういえば昔似たようなのがどこかにあったなーと思い出したので探してきました.これです. AL: the animation language CGKitはPythonでしたが,これはSchemeです.CGKitよりももう少し便利なツールが付いていて,シーングラフの表示やアニメーションカーブを編集するGUIがあり,RenderMan Interfaceもサポートしています. 一見するとなんともプリミティブなツールですが,SIGGRAPH ’97 Animation Festivalに入選した”Butterflies in the Rain”と言う作品は,モデリングからアニメーションまでこのツールを使用したとの事.モデリングにまでこれを使ったとは驚きです.ホントだろうか. Butterflies in the Rain ストーリーは雨がピアノを奏でる中を蝶が飛びまわる,という情緒のある作品です.MIDIから読み込んだ音楽と雨による演奏を一致させるためにALを使用したproceduralな手法を使ったのだそうです. 芸術性と技術が上手く融合した良い作品ですね.

CGKit

Python関係のサイトをうろうろしていて見つけました. CGKit CG関係で便利に使えるPythonモジュールとスクリプトのセットです.Pythonでシーンが記述でき,外部ファイルも読めたりしてかなり色々な事が簡単に出来ます.3Dマウスやその他デバイスへのインターフェイスがあるのも興味深い. 個人的には,RenderMan Interfaceのモジュール,Shading Languageのパーサ,Maya ASCIIパーサなどが良さそうに見えます.制作で使うツールやパイプランの構築などで便利に使えそう. あとはRIBパーサのモジュールも欲しいですね.必要なら作るかな.

visual development

とても良い記事を見つけたので紹介します. Gamasutra – Feature – “Visual Look Development: A Case Study with Star Trek Online” ゲーム”Star Trek Online”におけるvisual developmentに関する記事ですが,書かれている事はほとんどそのまま我々の制作にも当てはまります.正確にはvisual developmentとlook developmentは少し意味合いが違うのですが,ここでは画面の見た目を決める作業として話を進めます. 上記の記事中,特に”How do you do visual look development?”の項目は非常に参考になると思いますが,個人的な経験から,この中でも次の三点がより大事な事だと思います. a. 小さなチームで行う b. 明確な期限を決める c. コンセプトアートを手本にする それぞれの詳しい解説はリンク先に書かれていますのでそちらを参照していただくとして,自分はこれらの項目に関連して一つ心がけている事があります. それは「細部に拘り過ぎない」事です. lookを決める作業には終わりがありません.やろうと思えば幾らでもやる事はあります.特に作業をしている本人は,自分の作っている物に対して納得が行かない部分を多く見つけられるため,あまり重要でない事にまで捕らわれがちです. 細部にこだわり続けると時間が直ぐに無くなります.リンクの記事でも「最後の10%は全工程の90%を必要とする」と書かれていますが,経験上,これは本当にその通りだと思います.ですから,まず最も大事な要素から達成し,残りの時間で出来る限りブラッシュアップするというやり方が良いでしょう.これは上記のb.に関連します. visual developmentは,全体的に見た中での特徴を抽出するのが最も大事な作業で,上記のc.がまさにこの事を意味しています.コンセプトアートはそれ程細部が描き込まれていませんが,逆に絵として見た場合の全体的な最も重要な特徴,例えば光のコントラスト,物体を構成している材質,色の配置などを読み取る事が出来ます. そして,これらが決まると絵の善し悪しの80%位は決まってしまいます.もっと細かい部分の改善もブラッシュアップには必要なのですが,それは絵のクオリティをもう一レベルあげるための作業であり,ベースとなるレベルはvisual developmentでほぼ決まってしまいます. こちらで時々,日本人アーティストはディティールにうるさい,というような冗談を言われますが,職人気質な人が多いせいか,日本の映像作品は細部は非常に良く出来ていても,全体的な絵としてまとまっていない物が多いように感じます. ただ,これは言うほど簡単な事ではないし,真にartisticな才能を持った人が必要です.日本にも人材は居ると思うのですが,プロダクションとしてきちんと活用されているかどうかは分かりません. まずは絵の決定権をコンセプトアーティストに渡す事が必要でしょうか.