VFXやCGアニメーションのアウトソーシングが加速されているという記事を読みました. アウトソーシング先は,シンガポール,オーストラリア,ニュージーランド,インドが多いと書かれています. これらの国々に共通するのは,政府による強いサポートがある事で,その優遇措置を受けて設立されるスタジオが増えており,アメリカ国内のスタジオやゲーム会社はこぞってコストパフォーマンスの高いこれらの国のスタジオへ外注に出しているそうです. 特にシンガポールはアジアに於けるハブとなっており,政府が知的財産に対する深い理解をもっている事,そしてLucasfilmがスタジオを立ち上げた事などが起因しているらしい. また,こう言った優遇措置を推進している地域は増えており,中国,韓国,北朝鮮,東ヨーロッパ,タイ,フィリピン,ベトナム,カナダ・ケベック州,マン島が挙げられています.自治体が含まれているのが興味深いですね. 外注として受ける仕事は小さなものばかりではなく,大きなハリウッドプロジェクトの一部なども制作されているそうで,例に挙げられているのはグァテマラにある60人規模のStudio Cという会社は,現在”The Chronicles of Narnia: The Lion, the Witch and the Wardrobe”を手がけているとの事. “The Chronicles of Narinia”は,この先三部作が予定されている,”Load Of The Rings”の次と位置づけられている大きなプロジェクトで,Imageworksでも一部を制作しています. これらのスタジオの創設者には,アメリカの大手VFX/CGスタジオで経験を積んだ人が多く,自国に帰ってアメリカからの仕事を請けているようです. こういった形態は日本でも可能ではあると思いますが,いくつか必要な事があると思います. 一番の問題は恐らく英語でしょう.前述した現在アウトソーシングを多く請け負っている国々は,英語を話す人たちの多く居る国です.日本でも英語圏の会社ときちんとしたコミュニケーションを取る事が出来れば,仕事を請ける事は出来るはずです. 二つ目は,こちらの大手スタジオでの制作をきちんと経験した人をプロジェクトに入れる事.これは私のブログでも頻繁に書いている事ですが,日本とアメリカではプロジェクトの仕切り方,現場の作業のやり方がかなり違います. 技術的には問題ありません.ただ,仕事を請ける以上,クライアント側の環境とやり方を全く無視する訳には行きませんし,大きなプロジェクトを動かすにはそれなりの方法論もあります.日本のプロダクションはこういう経験が非常に少ないですから,意思の疎通を図るためにも,経験者を入れるべきだと思います. 三つ目は,彼らが最も懸念するであろうコストの問題.日本はコストがそれ程安いとは思えないので,その辺りはもしかするとかなり譲歩する必要があるかも知れません.しかし,これをやり過ぎてしまうとセルアニメ業界のようになってしまう恐れもあるので,サジ加減が難しい所です. 東京などは自治体がこう言った産業をサポートしようという意思があるようですから,実現の可能性は少なくないと思います. 安定して仕事が請けられる環境が作れたら楽しいでしょうね.