Posted by ますお on Nov 30, 2009 – 9:57 pm
SIGGRAPH Asia 2009にSketchが通りました.
SIGGRAPH Asia 2009 Advance Program (PDF)
Sketches
Thursday, 17 December, 9:00 AM – 10:45 AM
Production Session 1: Pipeline
Earthquake! Building a Pipeline to Destroy Los Angeles in “2012”
Haarm-Pieter Duiker
Rito Trevino
Osiris Perez
Masuo Suzuki
Digital Domain
内容は,”2012″で使われた,ライティング及びレンダリングパイプラインについてです.このプロジェクトは物量が凄かったので,今までのものでは対応しきれず,新しく作り直す必要がありました.自分はその中でPRMan用のDSO pluginを書いただけなのですが,幸運にもauthorに入れてもらえました.残念ながら自分は喋りに行けませんが,代わりに同僚がプレゼンをします.
自分の書いたDSOは,effectsがHoudiniで作成したbgeoフォーマットのジオメトリを,直接PRManで読めるようにするための物です... っと書くと簡単なんですが,レンダリングするためにはマテリアルやテクスチャ,その他attributeのアサインを全部やらなければならず,形状だけ読み込んでOK,というわけにはいきません.モーションブラーのサポートも必要です... っと書くと今度はすごく大変そうですが,そうでもありません(笑).
ちなみに別の同僚はPosterに入っています.
Volumetric Texture for Fissure in “2012”
Tadao Mihashi
Haarm-Pieter Duiker
Digital Domain
セッションの詳しい内容はここでは書けませんので,参加される方は是非聞いてみてください.
Posted by ますお on Nov 1, 2009 – 4:49 pm
うわーー マジっすか!
Nukeの開発元であるFoundaryが,Imageworksで使われているライティングツール,Katanaを買ったそうです.交渉中という噂は聞いていたんですが,実現するとは…
fxguide – flame:shake:fusion – Foundry Acquires Katana from SPI for Nuke
KatanaはImageworksで数年前から開発および使用されている,ノードベースのライティングツールです.ライティングツールでノードベース,というとピンと来ないかも知れませんが,簡単に言うと,「assetを読み込む」「ライトを置く」「シェーダをアサイン」「オブジェクトを隠す」「パラメータを変更」など,それぞれのコマンドをノードとして表現し,それらを手順としてつなげて行く事で,一つのプロセスとしてノードツリーを定義し,実行する,という感じのツールです.
Katanaはかなりの部分がPythonで書かれていて,fully scriptableで柔軟性もあり,GUIも使いやすく,かなり良くできたツールでした.自分がImageworksに在籍していた当時は色々と問題もあったのですが,あれから随分とブラッシュアップされているらしく,最近のバージョンではshading networkまで組めるようになっているとか.
記事を読む限り,Katanaを単体のアプリケーションとして売るわけでもないようですし,すぐにNukeにライティングモジュールとして搭載されるというような事でもないみたいですね.徐々にintegrateしていくという話のようです.Katanaのアイディアやツールとしてのシステムデザインを抽出するような感じでしょうかね.加えて,最近の大手スタジオのNuke移行に並び,ImageworksもNukeを使ったパイプラインに移行してゆく話が書かれています.
Imageworksは古い自社製のcompツールを(恐らく)まだ使っていて,Katanaにもある程度の事ができるcomp機能が付いていたし,Shakeのソースコードを買ったりしていたのですが,どうやら自前で整備して行くのはやめたようですね.compツールの開発はFoundaryに任せ,Katanaをそこに載せる事でそれを補完する,というのが作戦みたいです.今後,立体視作品の仕事が増える事も考えると,ネイティブに3D空間をサポートしているNukeとのコンビネーションは,なかなかいい.
ただ,Katana + Nukeがどのスタジオでも使いやすいか,と言われると,Yesとは言えないと思います.Katanaは完全にライティングに特化されたツールなので,それ以外の部分はライティング以前のパイプラインで完結しておかなければなりません.つまり,ある程度しっかりしたasset managementが出来ており,かつ分業化されている環境でないとfitしないんじゃないかな.
さて,Nukeのオリジナルの開発元,DDはどうするんでしょうねー.まあ,売っぱらってしまった以上どうしようもないんですけど,なんか寂しい感じもします.まあ,書いた人はもうDD社内にはいないんですけどね.
CTOがRob BredowになってからのImageworks,攻めの姿勢で面白いです.
Posted by ますお on May 8, 2009 – 8:03 pm
えー,モノスゴイ久しぶりに更新します.
表題の通り,ディスプレイの話です.一年くらい前にこのエントリーで書いたHPのDreamColor対応ディスプレイ,LP2480zxを仕事で使わせてもらえる事になったので,そのレビューみたいなもの.
日本HP Workstations / HP DreamColor LP2480zx
いきなり結論を書いてしまうと,
これはイイ!!!
色再現の正確さ,及び階調表現がその辺のLCDディスプレイとは比べ物になりません.極端な例ですが,例えばこんな画像を表示してみましょう.微妙に色の付いたbandingが見えませんか?LP2480zxならbandingはほとんど見えません.見えても気にならないレベルです.これならcolor-criticalな作業でも「使える」という実感があります.
色もかなり正確に表示できるようです.スクリーニングルームのプロジェクターとマッチさせてありますが,大きな外れ方はしていません.代表的なcolor spaceに加え,X-Rite製のキャリブレーターを通して作った独自のcolor spaceをディスプレイ自身に記憶させておく事もでき,我々のような環境での使用を前提に作られているのがよく分かります.Dreamworksと共同開発という触れ込みだったので,この辺は当たり前なのかもしれませんが,同じような機能を持った他社製品は多くありません.
実は,会社の作業マシンが古く,まだDVI接続で8-bitでしか使えていないのですが,それでも一般的なLCDとは雲泥の差があります.そのうちDisplayportを通した10-bit入出力にスイッチするらしいので,より正しい色で使えるようになるはず.
一つだけ気になる所があって,極少ながら場所によって色ムラが見られます.2Kがそのまま表示できる,1920×1200という広いディスプレイなのでLCDである以上は仕方ないのかもしれませんし,色によっては目立つ事もありますが,ほとんどのケースでは問題にならないとは思います.気をつけていれば使い方で十分カバーできる範囲です.
さて,これで完全にCRTを置き換えできるのか.
仕事の内容にもよるし,単純なYes/Noを決められるものでもありませんが,使い方さえ気をつければこれなら十分置き換えられると感じました.動きの激しい映像の再生とか,視野角で変化する色(ほんの少しですけど)とか,CRTよりも劣る部分はゼロではありませんが,少なくとも古くて劣化の始まったCRTを騙し騙し使うよりはずっといいと思います.普通のCRTだと2Kを等倍で全体表示とかできませんしね.
以前のエントリーでは値段が高いと書いたのですが,HPはその後大幅な値下げをして,キャリブレーター込みで$2500程になりました.同等の性能を持つ他の製品は倍以上の値段がしますから,実性能だけでなく,コストパフォーマンスという意味でも素晴らしい性能です.
アメリカ国内で安い所だと$2000を切る値段で売られているようです.この値段でこのクオリティなら,デジタルな写真現像をやるような場合には個人でも手に入れたいですね.
Posted by ますお on Jun 16, 2008 – 7:10 pm
Visual Effects Society(VES)が映画のクレジットに使用するタイトルのガイドラインを発表したとのこと.
fxguide quick takes » Visual Effects Society Publishes Industry Credit Guidelines
これは良い提案かも.
エンドロールにつけられるタイトルはその時に所属している組織によって変わる事もあって,同じ事をしていても作品毎に違うタイトルになる事がままあります.製作会社がこういうガイドラインに沿ったタイトルをつけてくれれば,もう少し分かり易くなるかな.
VESはこの業界では最も大きなコミュニティで,VFXという仕事において,毎年発表されるVES AwardsはAcademy Awardsと同じくらいの名誉,若しくはもう少し現場の意見に近い名誉とされています(なぜならAcademyほどは政治的にまみれていないから(笑)).
そのVESからの提案ですから,妥当な名称になっているのではないかと思います.まあそれでも,定義が曖昧というか何というか,同業者でも結局何をやったのかは直接聞いてみないと解らない事も多いです.一人でいろいろやる場合もありますしね.
経験上,一番間違われるのが”Visual Effects Supervisor”というタイトルです.VFX Supervisorには二つのタイプがあって,一つは映画その物の製作会社所属な場合,もう一つはVFX Shop所属の場合です.エンドロールでDirectorやProducer共々大きく名前が出るのは前者のタイプで,後者は我々と同じVFX請負会社の社員です.
製作会社所属のVFX Supervisorは実際の現場の事には殆ど関与せず,監督とビジュアルな面での方向性を探ったり,アイディアを出したりという事が主な役割で,細かい技術的な事には全く関わりません.ただし,その人自身やその人の名前は広告塔である場合も多いので,インタビュー等では色々と(さも全く新しい物であるかのように)語る人もいます(笑).結果,事実と反してしまう場合もあったりするのですが.
一方,VFX Shop所属のVFX Supervisorは,細かい技術に関わらない点では同じですが,毎日compositeの済んだ最終上がりのショットをすべて自分でチェックし,絵的にカッコよくできているか,統一感がとれているか等をまとめるのが仕事です.直接lighterやcompositorに指示を出す立場にいるので,全体的に見ればかなり現場寄りなポジションと言えます.
これほどの違いがあるにも関わらず,両者はどちらも”Visual Effects Supervisor”というタイトルが付けられます.皆さん,雑誌やネットのメイキング記事は話半分と考えましょう(笑).
今回VESの出したガイドラインを見ると,”Production”と”Facility”というカテゴリーが作られており,それぞれにSupervisorやProducerを設けているようなので,”Production”が制作会社側,”Facility”が現場側という分け方なのかも知れません.
しかしこういうのを見ると,改めて制作規模の大きさを実感させられます.
Posted by ますお on Jun 11, 2008 – 7:27 pm
米HPがDreamColor対応のLCDディスプレイを発表しました.
HP Press Release: HP Introduces World’s First Affordable Color-critical Display
米HP、タッチパネルPCや超薄型ノートPCなど最新製品群を発表 | パソコン | マイコミジャーナル
DreamColorというのは,HPとDreamWorks Animationが共同開発した,カラーマネージメント技術の総称だそうです.
HP DreamColor Technologies – Indigo, Designjet & Photosmart Printers
HP、ドリームワークスと共同開発の新しいカラーマネジメント技術を発表:ニュース – CNET Japan
コンセプトとしてはAdobeやAppleなどのそれと同じだと思いますが,モニタやプリンタ等のハードウエアも供給しているベンダーの強みを生かして,もっと緻密なマネージメントをしようという事だと思います.proprietary色が強いので普及するかどうかは微妙だと思いますが…
今,映像業界においてCRTモニタの確保は切実な問題になっています.高品質なCRTモニタはもうどこも製造しておらず,古い物を直しつつどうにかまかなっている状況です.経年劣化もありますし,修理もいつまでできるか解りません.業界は今後,LCD(もしくは代替の何か)へ移行せざるを得ないのですが,話はもう少し複雑です.
問題なのは,LCDモニタの色再現が技術的に不十分という事ではありません,EIZOのColorEdgeや上記のHP DreamColor Displayなどは実製作の使用に耐えうると思いますが,このクラスのLCDモニタは高価で,数百名からなる製作者全員に一台数千ドルするモニタを行き渡らせる事は簡単ではないのです.
もちろん,全員が全員color-criticalな作業をする訳ではないので,今でも安いLCDモニタのみで作業する人たちもいます.ただ,lookdev,lighter,compositorには正しい色の判別ができるモニタが必要ですし,プロジェクトの中でも最も人数を必要とする職種です.
とは言え,世界的な市場で見れば我々のような立場の人間は少数派に過ぎないわけで,製造メーカーが普及機で今よりも更に高品質な色再現性を追求していくとは思えず,このまま次世代のディスプレイ技術へ移行していく事も十分考えられます.CRTのように比較的安価に高品質化が可能であった頃はこういった問題はなかったんだろうと思いますが,現在主流のLCDモニタの場合,普及機のレベルではcolor-criticalな作業は(少なくとも我々の作業は)できません.
こういった点からも有機ELやFED,SEDには期待していますが,実製作に使えるようになるまでにはまだ数年かかりそうですね.
それまでCRTが持つといいのだけれど.