SIGGRAPH 2006雑感
by ますお
siggraphから帰ってきました.
Bostonはとても良い所でしたが,日中はかなり暑かった.さすがは東海岸.
今年は人が少なかったように感じましたが,もしかしたら会場が非常に広かったせいかも知れません.しかし会場の間取りがあまり良くなく,部屋の移動にとても時間がかかったり,出入口が判りづらい場所にあったりしてイマイチな感じでした.建物自体は新しいようで,設備等が充実していて良かったんですけどね.
カンファレンスはなかなか面白かったと思います.製作に関連のありそうな物を中心に聴いて周りましたので,以下に印象に残った物を列挙します.
[ Davy Jones ]
Pirates of the Caribbean2のタコ親父に関するプレゼンがいくつかありました.結論から言うとかなりの部分がアーティストの技量により達成されたとの事.まあそれでもstanfordと共同開発のシミュとか,最近のグラフィックカードでもローテーション出来ない程のヘビージオメトリとか,相当に注意深くマネージメントされたIBLとか,色々と驚きはありましたが.因みに全てのDavy Jonesとその手下(半人間な一人を除く)はやはり100% CGだそうです.これも驚き.
[ Fluid ]
今年はどちらかというと実際に現場で使われた話が多かったので,先端技術から段々とこなれてきたようです.中でもILMが”Poseidon”で製作したPoseidon号が沈没するシーケンスは圧巻でした.あと,一部では割と有名なScanlineというドイツのスタジオが製作したR&D demo reelがElectric Theatreに入っていました.コンプ無しのone-pass renderだそうです.スゲー.
[ Rhythm&Hues ]
R&Hは”The Chronicles of Narnia”で相当ステップアップした模様.たくさんの要素技術をこのプロジェクトで実装したようです.やはり実務ベースで作られた物は強いですね.それぞれの技術にはそれ程派手さが無いものの,全てが上手く調和して良い結果を出している印象でした.特にライオンのAslanはその集大成とも言うべき物です.
[ King Kong ]
Wetaも”King Kong”においてかなりの規模でR&Dしたようでした.特に凄かったのはKongのfacial animationで,人間のfacial motion captureをゴリラの顔にtransferする技術が他社の物と比較しても郡を抜いて良くできていました.残念ながら技術的な詳細は語られませんでしたが,Wetaの大事な差別化技術になると思われます.
また,1933年のNYCが建造されて行くシーケンスの解説もありました.モデルはGPSデータから3Dを起こすツールを開発,現代と1933年のギャップはハンドメイドで埋めたそうです.また,小さなビル群のモデルとテクスチャはproceduralに生成するシステムを開発したとの事.
[ CGIStudio++ ]
Blue Sky Studioのプレゼンで,謎だった彼らのレンダリングパイプラインに関する興味深い事実が色々と分かりました.BlueSkyのレンダリングシステムは現在CGIStudio++と呼ばれているそうですが,まず驚きなのがモデラーがモデルした全てのsubdivision surfaceは大量のbezier patchに変換される事です.以前にpatchを直にレンダリングするという話を書いた事がありますが,てっきりpatchでモデルするんだと思っていました.subdiから変換するってのは凄い.limit surfaceをbezierに変換できるって,どんなsubdivision schemeを使っているのでしょうねえ.もしくはある程度のエラーは許容しているのかも知れません.subdiから変換したpatchをcolorizeした絵を見せていましたが,凄い量のpatchでした.displacementに関してはbumpで代用,もしくはモデリングで対処しているらしい.
当然こういう事をするとまともにテクスチャを描くのが不可能になります.UVに依存するシェーダも殆ど使えません.で,彼らの出した結論は,「テクスチャマップをしない」でした.マテリアルとテクスチャは全てproceduralに生成し,surfaceにアタッチする代わりに,メタボールのようなガイドを使ってworld spaceでその影響範囲を指定する方法です.アサインされるモデルはアニメーションが付く前のinitial pauseで行われ,このモデルは恐らくリファレンスジオメトリとしても使われているはずです.ただ,機械のメータやロゴなど,どうしてもマップが必要な物もあるので,そういう物だけは普通にテクスチャマップが使用されているそうです.
非常にユニークなシステムですが,これはフォトリアルではない絵を作る事が前提のシステムでしょう.フォトリアルにするには大量のテクスチャがどうしても必要になります.しかしながらとても興味深い仕組みですね.技術的にはなんとなく想像が付きますが,それを実装してユーザ用のツールとパイプラインを構築し,きちんと成果を出している所がスバラシイ.
あと,彼らのfurはイマドキ(?)ながらvoxel furでraytraceableだそうです.スゲエ.
細かい物以外ではこんな所でしょうか.
今年もやはりリアルタイム系の話題が元気で,たくさんのプレゼンがありました.段々とリアルタイムで出来る事はオフラインに近付いて来たようですが,そのクオリティ(特に周波数)が追い付くにはもう少しかかりそうです.
paperはあまりチェックしなかったので,暇を見てproceedingsを眺めてみたいと思います.